【がん発生率】甲状腺腫瘍(WASH1400・ラスムッセン報告書)

甲状腺がんは67000人以上】

福島第一原発事故に伴う甲状腺腫瘍は67000人以上。
週刊文春2011年4月21日号で『WASH−1400』(別名ラスムッセン報告書)という1975年のアメリカのレポートが紹介されました。WASH-1400とは、アメリカでの原発事故を想定したレポートです。この中で、事故の影響による急性死亡者数は1200人、晩発性ガン死亡が2100人、甲状腺がんが67000人とシュミレーションされています。

また、『NUREG−1150』というレポートでは、原発が全電源喪失の事態に陥った後に起こるシミュレーションがレポートされています。どれくらいの時間で放射性ヨウ素などの放射性物質が漏れるのか予測されています。この報告書によれば、地価の損失は4.5兆円、立ち退きによる損失が9兆円です。(以上p.34)


【WASH1400は放射能汚染事故発生後2時間以内での避難が前提】

WASH1400は、もともとはアメリ東海岸での原発事故を想定しています。さらに、事故後2時間で退避できた場合です。人口密度が高かったり、避難が遅れればさらに放射能汚染被害が大きくなる可能性があります。


【政府の放射線量積算基準は信頼できるか】

週刊現代2011年4月23日号によれば、政府が安全であると主張する基準値は、国際放射線防護委員会(ICRP)が作ったものとされています。

同誌によれば、この団体、がん発症率の評価を極端に少なく見積もっているというのです。ヨーロッパ放射線リスク委員会は、1945年から核実験や原発からの放射線で6500万人が、がんなどで死亡したと推定。しかし、ICRP基準はといえば、117万人しか数に入れていないそうです。ICRPは内部被ばくを無視して実態を過小評価している疑いがあると述べられています。(p.39)

実際の50分の1程度しか放射能被害を認めないような基準であるならば問題ですね。


【本当の被害がわかるのは20年後】

乳幼児(乳児、幼児)が、放射線被曝によって白血病甲状腺がんにかかるかどうかは20年後になってようやくわかるといいます。ですので、「ただちに問題はない」というのは信用のおけない表現です。原発冷温停止の見込みが立たない中、計画避難区域という悠長な対応をしていてよいのか疑問を感じます。

福島原発事故でいったい何人ががんにかかるのか。そして何人が死ぬのか」
「20年後も健康に生活するためにいま何が必要なのか」
それをきちんと計算してから、今後の意思決定をしていく必要があるように思います。


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・[http://d.hatena.ne.jp/rakkochan/20110329/p1:title=【地図】放射能汚染範囲マップ(福島県飯館村原発40キロ圏の地域)]